残留応力計測
ソリューションサービス

そもそも残留応力って何なの?

残留応力とは

材料や構造物に外力が作用していない状態でも、内部で静的に釣合いを保っている応力が存在している場合があり、
このような内部応力を残留応力(residual stress)と呼びます。
応力には方向があり、物体が外力によってひっぱられ、伸ばされようとするときに発生するものを引張応力といい、
反対に外力によって縮めようとするときに発生するものを圧縮応力といいます。引張応力がある状態では物体の強度は低下する場合が多く、
一方で圧縮応力では物体の強度を向上させる場合が多いです。
圧縮応力の特性を活かし、強度を向上させるショットピーニングという処理方法も存在します。


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残留応力の発生原因

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1:加工や成形プロセス
溶接、鍛造、鋳造、曲げ、引き抜きなどの加工プロセスで、材料が局所的に過度な力を受けることで残留応力が生じます。
特に冷間加工では、加工後に材料内部に大きな残留応力が発生しやすいです。

2:温度変化
急激な冷却や加熱による温度勾配が原因で、材料内の部分的な膨張や収縮が均一でない場合、残留応力が生じます。
例として、急冷によって表面が急速に冷却され、内部との温度差によって内部応力が発生することがあります。

3:相変態
材料内部の相変態(例えば、鋼の焼入れ時に発生するマルテンサイト変態)により、体積変化が生じ、その結果、内部に応力が残ることがあります。

4:組立誤差
部品の組立時に、寸法誤差や組立条件の不整合があると、部品間に不均一な力が作用し、残留応力が生じることがあります。

5:圧延や塑性変形
材料が圧延や塑性変形を受けると、材料内部にひずみが生じ、応力が取り除かれないまま残ります。


いずれにせよ、 残留応力は機械加工精度に密接に関わってくるものなので、加工の際はしっかりと向き合う必要があります。
山本金属ではそんな残留応力を計測し分析するMIRS®法を提供しております。
残留応力についてもっと詳しく知りたい方は、こちらより残留応力の話ページへ



MIRS®法 ― 高精度内部残留応力測定法(深穴穿孔法)
特許取得済み 特許第7068567号

残留応力計測の
ソリューションを提供

特徴01

厚板への適用

板厚100mm以上の試験体でも
測定可能
(1mmの深さから測定可能) 

特徴02

測定位置決定の精度

機械制御で位置決定を行う為、±1μmの精度で制御可能

特徴03

複雑形状,様々な材種への対応

形状制約が小さく、
複雑形状でも測定可能
鉄鋼、非鉄金属、樹脂、特殊材
など様々な材種へも対応可能

特徴04

加工量の抑制

測定位置の穿孔+トレパニング
のみで測定可能
加工量が 抑えられる為、
短納期,測定コストダウンを実現

鋳造、鍛造、溶接、研削、ショットピーニングや熱処理などの加工によって材料中に応力が残ります。
残留応力は構造物における応力腐食割れ、疲労亀裂や脆性破壊を引き起こす恐れがあります。
それ故、残留応力の把握による適切な構造設計・金属加工・新素材開発・施工管理は 構造物や各種加工部材の信頼性確保に必要不可欠です。

山本金属では培ってきた金属を削る・穴を開ける・磨くという技術と
素材を計測評価するノウハウを活かし、あらゆる残留応力計測サービスを実施しています。

なおMIRS®法は弊社が培ってきた加工技術を活かした深穴穿孔法を利用した高精度な内部残留応力測定法です。
全ての工程を日本国内で行いますので従来よりも短納期で対応させて測定・評価させて頂きます。

厚板内部まで計測できる残留応力計測手法

MIRS®法とは

高精度内部残留応力測定法(深穴穿孔法)はイギリスで開発された深穴穿孔法を
山本金属製作所・ 大阪大学・コベルコ溶接テクノ株式会社・岡山県産業振興財団と共同で改良した高精度測定方法です。

本測定は厚板内部まで計測できる残留応力計測手法です。
本方法では100mm以上の厚板内部の残留応力測定にも適用可能です。板厚4mm~対応可能です。薄板・鋼管でも実績があります。
※計測可能板厚:4mm~200mm  ※計測可能重量:10tまで

【測定事例】
●各種鉄鋼、アルミ厚板や鍛造材の内部残留応力分布把握
●ブレーキディスクにおける内部残留応力分布把握
●自動車用アクスルの残留応力測定
●積層造形材・レーザービーム造形材の残留応力測定
●樹脂材の内部残留応力分布の実測値把握(エポキシ樹脂・PP等)
●射出成形条件におけるの樹脂成形体の残留応力測定
●ピーニング効果の確認
●FEM解析結果の検証
●溶接シュミレーションの妥当性検証
●き裂進展挙動の確認など
●タッチプローブでの票裏面0~1mmの残留応力測定
樹脂材料(エポキシ樹脂・PP等)・CFRPでも計測実績があります。




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MIRS®法の計測について

Point02

ひずみゲージ切断法との比較

ひずみゲージ切断法 内部残留応力測定 MIRS®法
材質 鉄鋼、非鉄金属、樹脂 鉄鋼、非鉄金属、樹脂
計測深さ 計測深さ 2~100mm以上
(ただし、単純形状に限る)
0~100mm以上
(複雑形状可能)
測定ピッチ 2mm~ 0.2mm~
測定位置の誤差 貼付け位置±0.5mm
ゲージ傾き±1°程度
±1μm程度
加工量 加工量 1.5mm程度の
ブロックになるまで切断が必要
測定位置の穿孔+トレパニング
⇒ 究極まで破壊量を抑えられる
必要日数 4週間~8週間
(測定ピッチ数による)
約2週間
Point03

各種計測法における測定深さ

評価方法の改良によりMIRS®法にて表裏面0~1mmの残留応力の評価が可能となりました。
小型・薄肉形状の製品や材料の評価にご活用下さい。

Point04

ひずみゲージ法

検査物の残留応力または歪みを測定したい部位に測定方向を考慮してひずみゲージを貼付し、
ひずみゲージの周辺を切断することで解放された応力を測定する方法です。
ひずみゲージを貼り付けた部分全体に作用するマクロ的な応力測定に適しています。
適用例:板厚内部の残留応力の確認

Point05

X線回折法

材料に応力が加わると原子の配列している距離(格子間距離)も伸縮します。
X線回折法では格子間距離の変化をX線により測定します。
応力の測定深さは表面から約数μmの範囲で、微小領域に作用するミクロ的な応力測定に適しています。
適用例:ショットピーニング効果の確認

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FAQ

よくある質問

皆様からの残留応力計測ソリューションサービスに関してよく頂く御質問をまとめました。
下記以外の質問もお待ちしておりますので、是非お問い合わせ下さい。

MIRS®法は非破壊法ですか破壊法ですか?
測定位置の穿孔+トレパニングを実施しますので破壊量を抑えられますが、
非破壊法ではありません。位置付けとしては部分破壊法になります。
MIRS®法にて計測する穴径はどのくらいですか?
φ2.5もしくはφ6になります。
MIRS®法にて測定可能な素材形状は?
φ25以上または□25以上のワークから6m×3mの
テーブルに乗せることが可能なものとなります。
MIRS®法対応可能な材質は?
金属または樹脂については対応可能です。
MIRS®法における受託試験の流れは?
①御発注頂く
②試験体を弊社岡山研究開発センターへ送付
③計測
④データと試験体をご返却
以上となります。
残留応力を取り除く方法はあるんでしょうか?
金属製品であれば、内部のひずみを取り除く焼きなましという熱処理がございます。
樹脂製品(プラスチック)であれば、アニール処理やアフターベーキングなどで熱を加える手法がございます。
詳しくはキーエンス様のサイトをご覧ください。

ご注文・ご依頼までの流れFlow

お電話・メールで、ご相談を受け付けます
まずは、お電話またはメールでお気軽にお問い合わせください。
スピーディーにご対応させていただきます。
step 01
ヒアリングし、お客様のご要望をお伺いします
御訪問やWEB会議システムでのお打ち合わせを通して、試験の仕様を摺合せさせて頂きます。
試験仕様に基づき、御見積書をご提出します。
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試験の立ち合いも可能です
実際に残留応力計測ソリューションサービスを御発注頂いた場合は、岡山研究開発センターにて試験の立ち合いも可能です。
お気軽にご相談ください。
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